反体制志向は既存のシステムの外からやってくる

1970年代後半から1980年代前半にかけてエレキギター,安い多重録音装置,セックス・ピストルズといういい手本が一斉にあらわれた.そのため音楽トレーニングを受けずに,特に才能もない若者たちが勝手に音楽をやれるようになった.パンク・ロックが音楽シーンに登場したとき,ステージの前で踊っていた若者たちは稲妻のようなひらめきを感じたものだ.同い年ぐらいの若者が3つのコードをへたくそに弾きながらステージを飛び回っているのを見たら誰だっておもう.「俺にもできる」

ロングテールp107

ロングテール」を久々に読み返した.引用は以前気になって,コメントを残したかったところだ.この引用に続くくだりで,生産者と消費者の垣根が低くなったこと,つまり生産手段が民主化したことが述べられている.

80年代,私が10代だったころの大半の大人はバンドブームを歓迎していなかった記憶がある.特に私の育った家庭ではそうだった.そのことを無意識のうちに受け入れていた私は,バンドをやりたいなどとは夢にも思わなかった.もちろん音楽的なセンスが皆無だったことも理由の一つだが.

ところで,つながルのコミュに「マキシマム・ザ・ホルモン」というバンドのコミュがある.まだ3人しか入っていないけど.名前が興味深かったのでぐぐってみたら,4人組のロックバンドのようだ.Webサイトを見る限りでは,楽しそうなロックバンドのように見える.Webの作りからして亮君というメンバーが中心的な存在らしいが,いろいろな方向に気合いが入っているみたいで,まあ好感が持てる.

そんなWebを見て,なおかつ先の文章を読みながら,当時の私も,もしバンドをやっていたらどうなっていただろうなと少し夢想した.高校時代打ち込まなかったことがなかったわけではないが,結果的にその選択肢は限定されていたと感じた.もっとも,限定されていない選択肢などないが.
しかし,先の引用があてはまるとすれば,当時ロックに強い関心を抱きそのことに熱中している奴は,
イノベーション民主化に対する本質的な理解がより早く得られたのかもしれないなと考える.
そう思うと,若者の文化が後でどのように評価されるかは全くわからないもので,そのときそのときの大人の色眼鏡に依存して見ないようにしないといけないなと思うわけです.