予告.inのような社会貢献

総務相が、ネット上の犯行予告を検知できるソフトの開発費を来年度予算の概算要求に盛り込むと発言した。費用は数億円」という報道を受け、開発者の矢野さとるさん(26)は、犯行予告収集サイトを1人で2時間で構築・公開した。

犯行予告収集サイト「予告.in」公開 「0億円、2時間で作った」 - ITmedia NEWS

ソフトウェアの生産性とエンジニアの能力をはじめ、いろいろなトピックとしておもしろいですね。ソフトウェアエンジニアの能力ができる人とできない人で千倍は違うんじゃないかというのはしばしば議論になる点ですけど。

それに数億円払おうとしていた政府。

もちろん出来上がる物の完成度は違うはずだが、ここまで安く作られてしまうと、費用対効果で見て予告.inを上回るものを作るのは難しいだろう。外注してシステムを構築させることに関わる様々なコストは相当な割合に上る。相応の能力があり、作りたい人がそれを作ることの費用対効果は劇的に上がる事を端的に示している。

こういう例を見ていると、やる気がある人もない人もまんべんなく教育させるより、一部のモチベーションがある人を伸ばすことに教育資源を集中的に投入した方がよいのではないかとつい考える。といっても、自発的な学習モチベーションの強い学生であれば、提供してやるのは没頭できる環境が中心で、あとは相談された時に回答できる人がいればいいのかもしれませんが。ただ相談する人も別に大学で用意する必要もなくて、それなりにネットで教えてくれる人もいるとおもいますけど。

それに、今回の件で見過ごせないのは、作ろうと思った物が出来上がるまでの時間のことです。政府が来年の概算要求に盛り込んで、システムができるのが年度末だとすると、最悪2010年3月頃できるかもしれないということですね。それが個人の努力で約1年半ほど早められたということの効果のすごさ。これで実際に救える人が出てくることを期待したいです。政府などの大組織が対応できる環境には限度があるという好例でしょう。

あとは、集合的な解決策を採用していることにも着目したい。
公的機関がすんなり採用するのは難しい社会的技術だとおもいます。もし、虚偽の情報が共有された場合、誰が責任を。。。といった議論が出ることがすぐに想像できてしまいます。

個人的にはこういう社会性の高いWebアプリケーションを作る学生サークルとかあってもよいと思うのだが。とっても費用対効果の高い社会貢献になることでしょう。