ベンチャー経営者は事業家であるべきか、技術者であるべきか

ソフトウェア産業の究極の振興策
http://blog.gcd.org/archives/50816826.html

日本の大手電機メーカが本当にイノベーションを起こしていないのかどうかはさておき、上のエントリで述べられていることには相当同意できる。ただ、よけいなことをあえていうとすれば、リンク先の立論は、事業家と技術者を分ける時点で日本的教育の悪い影響を受けている気がする。理系と文系という、科学的パラダイムに関する分類にすぎない方法論であり、それ以外に特に意味のない分類方法が、あたかも教育サービスの種類や人材までも分類できるかのような妙な錯覚はこの際やめたらどうか。
その点で、私の知る限り、日本の工学部教育は暗黙のうちに超大手メーカに行くことを望ましいゴールとして設定しているような気がしてならない。伝統的に行われている、学校推薦による就職先の斡旋等は、既存のエスタブリッシュメントな企業が対象の中心である。というか、工学系の大学教育は職業教育的要請の観点からすると基礎的な学習が多いからなのか、就職活動などに時間を費やすより、研究や勉強に専念すべきだという考え方が、他の学問系統と比べても強い。
結果、良くも悪くも「技術バカ」を育てていると思う。もっとその技術の社会的有用性や、ビジネスでの活用に対して、学生自身が強い関心を持つようにするのは、少し時間がかかりそうだ。

リンク先ではグーグルを例に出しているが、ネットベンチャーのような将来が見通せない領域では、多産多死による革新的ベンチャーの生態系が求められている。(超)大企業では、組織的に民主的な手続によって技術開発や商品開発の方向性が決定されるだろうから、イノベーションの可能性は低いと考えなければならない。そういう点で、大手企業に眠る技術者がもっと柔軟に独創性を持って挑戦できる環境が望まれているのだろう。