医師不足

○  昭和50年代後半からは医師の需給に関する議論が始まり、昭和57年には、医師については、全体として過剰を招かないように配意し、適正な水準となるよう合理的な養成計画の確立について政府部内において検討を進めることが閣議決定(「今後における行政改革の具体化方策について」)された。昭和61年には、厚生省の「将来の医師需給に関する検討委員会」の最終意見において、平成37年には医師の10パーセントが過剰になるとの需給検討に基づいて、平成7年を目途に医師の新規参入を10パーセント程度削減するとの提言がなされた。また、昭和62年に文部省の「医学教育の改善に関する調査研究協力者会議」の最終まとめにおいて、平成7年に新たに医師になる者を10パーセント程度抑制することを目標として、国公私立大学を通じて入学者数の削減等の措置を講じることが提言された。

僻地医療が問題になっているニュースを見るたびに思う。
一環して医師を減らしてきたのは政策的コントロールの結果にすぎない。

所詮政府が需要と供給をコントロールしようとするとこのような事になるという見本ではないか。

合理的には、能力に応じた柔軟な資格制度があり、社会的コストに応じて養成する機関・手段が多様になればよい。たとえば、比較的低コストで養成できる准医師制度を創設する。

医師がいない環境では、医師の代わりになる。あるいはそのような人材が増えれば、産業医としてより密接に企業内雇用をすすめていくこともできる。
また、医師免許の認定に地域限定を導入するなど、地域間格差を是正する方法はいくらでもある。もっと言えば、診療科間の偏在が問題なのであれば、診療科毎の免許にすれば良かろう。

弁護士と司法試験(ロースクール)の話も同様の構造なのだが、職能団体が自らの専門性を希少化しようとする政治的圧力の結果が、現状を生み出している(ようにしか見えない)。

もう大学の定員を社会的政策決定におけるパラメータに使うような愚策はやめにしたらどうか。
これは現状のすべての大学についていえることだと思うのだが。