うそ臭い感想

eポリティクス論という講義を担当していて、授業の感想をメールで提出してもらっている。基本的には任意で、採点対象である。

第1回目の講義では、政治の一つの形をわかりやすく伝えるために、クローズアップ現代ミャンマー情勢(スーチー女史が議員になる、経済開放が進む等)の回を見せたのだが、提出される感想がなんかウソくさい。

例えば下記のような感じのメールがたくさん来る。

私は正直政治のことがよく分からず、関心を持てずにいました。
しかし、昨年20歳になり、選挙権を持つ年齢になったため、政治についてもっと積極的になろうと考えています。

若者の低調な政治参加が社会的に問題視されている中で、あたかもそのようなことがなく、みな良き市民であるような書きぶりである。
それを見て私はなんとなく恐怖を感じた。というか、なんか嘘っぽい。
大学の講義という環境で、感想を出せと言われたから、なんとなくそれっぽい期待される感想を出す、というか、真面目な良き市民たる大学生を演じているようにしか見えない。

だから、2回目の講義で、「感想というのはもっと正直に書きましょう。」とか、「クローズアップ現代1回見ただけで、政治参加が促進されるなんて、みんな洗脳に弱すぎます。」とか煽っておいた。

そうしたら、何人かの少なくない学生から、下記のような感想を得た

今回の講義で、正直な意見を書けばいいと言っていた。わかっていないこと、思ってもいないことを、わかっているふり、わかったふりをして書いていると言っていたのがおもしろかった。それは自分に当てはまっていたからだ。感想だから、建前のような感想は感想じゃないという話が印象に残った。

せっかく大学に来て、世間のしがらみにとらわれずに意見を言えるのであるから、みんなもっと言いたいことを言うべきだと思う。